看護師が患者さんにできる限りのケアを施しても亡くなってしまうことはあります。
その際に看護師が患者さんの死について責任を問われることは滅多にないでしょう。
いかに医学が進歩したとはいえ、医療技術にも限界があり、あらゆる手を尽くしても助からない命もあるのです。
また、患者さんの死について、最初に責任を追及される立場にあるのは主治医であり、担当看護師だけが責任を取らされることは少ないでしょう。
しかしながら、患者さんが死亡した現場に看護師しかいなかったケースなど、看護師が患者さんの死について責任を負うことが全くないわけではありません。
この場合、点滴薬剤の種類を間違えたり、人工呼吸器のスイッチを誤ってオフにしたりするような重過失が看護師にあった場合には、当然責任を問われます。
ただし、こうした重過失が無かったとしても、看護師は責任を追及されることもあるのです。
たとえば、嚥下能力の低い患者さんが食事中に誤嚥を引き起こし、周囲のスタッフが気付くのに遅れて救命措置が間に合わなかった場合など、現場に居合わせた看護師が責任を問われた例があります。
看護師の他にも、救命措置を行える職員がいたとしても、看護師以外に医療従事者がいなかったというケースでは、看護師の責任が問題になりました。
結果として、民事裁判で看護師の損害賠償責任が認められて、看護師には賠償金支払い義務が課せられたのです。
したがって、看護師は重過失が無くても患者さんの死に関する責任を負う場合もある、ということを自覚しておかなければならないでしょう。